1996 年 65 巻 3 号 p. 170-173
らい(ハンセン病)患者の白内障に超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の挿入を同時に行い,ぶどう膜炎の既往の有無で,その術後成績を検討した。対象はぶどう膜炎の既往がある群は14例15眼,既往のない者は8例10眼で,経過観察期間はそれぞれ平均20か月と23か月である。2段階以上の視力改善率は,既往群では14眼(93%),既往のない群では9眼(90%)であった。術後合併症の頻度をみると,ぶどう膜炎の既往のある群では15眼中14眼(93%),既往のない群は10眼中4眼(40%)であり,既往のある群は,術後合併症の頻度が高かった。しかし,特に重篤な合併症はなかった。